岡康道さんという、私が学生時代に大好きだった広告クリエイターがお亡くなりになりました。
私は就職活動のときに、ほぼ広告代理店しか受けなかったのですが、必ず聞かれる「好きな広告」については、岡氏の作品を必ず挙げて熱く語ったように覚えています。
なんだかここ数日、しみじみと久しぶりに彼の作った作品群をぼんやりと眺めていたのですが、そうか、もう何年もCMの作り手なんて気にしたことがなかったけど、VOXYのCM、岡さんなのか。やっぱり自分が好きだなと思うものは変わらないな、うんうん。と納得。
父親と息子は、永遠ではない。
未熟な俺たちのこの不思議な時間には、いつか最終回がやってくる。
だから、それまでは、なるべくたくさん、一緒にいようぜ。
「父親が失踪しました」
早稲田を出て、アメフトやってて、背も高く、顔もカッコよくて・・・
そんな一見、いかにもな奴が就職の面接に来ても面白くない。だから、あえて面接の初っ端に「父親が失踪し生活が苦しかった」という自分の綻びを人に見せる、というようなことを意識的によくやっていた
というようなことを何かの本に書いていましたが(最終的に電通に入社)、どうすれば人を惹きつけられるのか、というようなことを既に学生時代から会得していた人なのでしょう。
タイザノットでも、美人で、高学歴のキャリアウーマンで、という方がたくさんいらっしゃり、「よく隙がないって言われます・・・」とおっしゃる方も多いのですが、一見完璧だからこそ、ちょっとした弱さやダメなところが効果的に自分を見せる、ということを、彼のように分かった上で上手に利用してみると良いように思います(「父親失踪」までいくといきなり重くなってしまうので、ちょっとしたダメ話のようなものでいいと思います)。
それは決して「あざとい」のではなく、相手に緊張を与えず、その場のお互いのコミュニケーションを円滑し、楽しい時間を過ごすための一つのサービス精神のようなものだと思います。
明るく楽しいピカピカの広告が溢れる中で、いつもどこか哀しさや切なさ、郷愁のようなものといった、どこかに「負」の空気をまとっているかような作品は、どれもなんとも「色気」のある魅力的な広告だったように思います。
「隙」も「色気」もナチュラルに出せる人がいますが、前述の発言から見ても、彼なんかは感覚的であると同時にある程度の計算も入って何をどれぐらいの分量で自分から「引く」ことで、人が自分を好意的に受け入れるのかを客観的に計っていたようにも思います。
婚活では、とにかく自分のプラスのアピールポイントを探しがちですが、その分量が過剰になってしまっているときには、どこで「引き算」をすれば自分がチャーミングに見えるのかを考えることも一つの戦略。客観的に自分を分析する視点が必要なので、難しいところなのですが、ハイスペックな人ほど必要な視点かもしれません。
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