私は広告会社を辞め、当時見よう見まねで小売りの仕事を始めたので、百貨店の人と話をしていても、例えば
「その商品は奥行きがあるのでしょうか?」
と聞かれても、よく専門用語(?)がわからず、担当者は「こいつ、こんな基本も知らないで大丈夫かなぁ・・・」とさぞかし不安でいっぱいだったと思います。
ちなみに、「奥行き」とは「在庫」のこと。
それこそ奥ゆかしい表現で、味気の無い単なる在庫が、なんだか少しばかりエレガントな風情を帯びますが、でも、そう考えてみると、「奥行きのある人」というのは、「経験値や知識の在庫」が豊富な人と言い換えても良いかもしれません。
どれだけ今までの人生で多くの経験を積み、様々な感情や知識を得、今に至っているのか、そこに表面的にはわからなかった意外性や人間性を感じ、人は魅力を感じるものだと思います。
よくお見合いやデートで何を話していいかわからない、沈黙になってしまう、という方がいらっしゃいますが、もう30年も40年も生きてきた訳で「ネタや経験がゼロ=在庫ゼロ」ということは絶対にありませんので、IBJでお見合い婚活をするのであれば、もう一度プロフィールに書いていること以上にたくさん今までの人生を丁寧に振り返って、自分の「奥行き」を見つけ、表現することをして欲しいと思います。
といっても、そんなたいそうなエピソードでなくても良くて、例えば今のような桜の季節であれば、「そういえば、家族と桜を観に○○に旅行にいったな」「そういえば、この季節になるといつも祖母が〇〇の桜餅を買ってきてくれたな」とかそんなことでも良いのです。些細で小さな思い出でも、そんな話をしていく中で、その人の輪郭を少しずつはっきりさせてくれます。
でも、こういうことって、ふと瞬間的に思い出したりはするのですが、基本的にすっかり忘れて生きていることが多く、私なんかも、「自分の店に強盗が入りナイフを突きつけられた」という割と人生においてもあんまり遭遇しにくいエピソードも、この前「アンナチュラル」を観ながら、そういえば私もあったよな、と思い出すぐらいなので、少し意識して思い出さないと忘れているものだと思います。
なので、皆さんも婚活をスタートする際には、一度、ご自身の在庫改め「奥行き」の棚卸しをしていただければな、と思います。春はいろいろと思い出が多い季節ですし、自分の人生を振り返ってみるには良い季節ではないでしょうか。